非課税期間終了時の注意点。課税口座への移管とロールオーバーとは?
NISA口座の非課税期間(5年間)が終了すると、次の3つの選択ができます。

NISA口座から課税口座へ移管する際の注意点があります。
移管時の株価が、新たな非課税枠の取得単価となるんですが、分かりづらいので説明します。
ロールオーバーについても注意点がありますので、同じく説明します。
目次
1.期限前に売却する
5年間の非課税期間の終了前に売却します。
利益は非課税に、損失は損益通算できません。
聞いた話だと、表現としては「ないもの」とされるそうです。
従いまして、利益になっても損失になっても何も適用されないんです。
2.特定口座や一般口座へ移管する
非課税口座のNISA口座から、課税口座の特定口座や一般口座へ移管します。
移管された取得単価(株価)は、購入時の株価ではなく、移管時の株価になります。
分かりづらいんですが、取得単価がクセモノとなります。
なお、一般口座はほとんど使われませんので、特定口座(課税口座)で説明します。
購入時より株価/基準価額が上がった状態で移管した場合
100万円で購入した株が120万円に上昇。
NISA口座から課税口座へ移管する際の、取得単価は「120万円」になります。

NISA口座から移管して課税口座で売却した場合と、課税口座でそのまま売買した場合の税金の比較です。
NISA口座で購入して移管し、特定口座で売却した場合 |
|
移管後に、140万円で売却した場合 | 移管後に、90万円で売却した場合 |
140万円-120万円=20万円の利益 20万円×20.315%=40,630円の税金 |
取得単価(120万円)を下回っているので 税金は発生しない |
特定口座で最初から売買した場合 |
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140万円で売却した場合 | 90万円で売却した場合 |
140万円-100万円=40万円の利益 40万円×20.315%=81,260円の税金 |
購入価格(100万円)を下回っているので 税金は発生しない |
NISA口座で運用中に、株価/基準価額が上昇し、その後に課税口座(特定口座/一般口座)に移管をした場合、取得単価が購入価格より高くなるので、利益が出た際に支払う税金が少なくなります。
購入時より株価/基準価額が下がった状態で移管した場合
100万円で購入した株が80万円に下落。
NISA口座から課税口座へ移管する際の、取得単価は「80万円」になります。

NISA口座から移管して課税口座で売却した場合と、課税口座でそのまま売買した場合の税金の比較です。
NISA口座で購入して移管し、特定口座で売却した場合 |
|
移管後に、110万円で売却した場合 | 移管後に、60万円で売却した場合 |
110万円-80万円=30万円 30万円×20.315%=60,945円の税金 |
取得単価(80万円)を下回っているので 税金は発生しない |
特定口座で最初から売買した場合 |
|
110万円で売却した場合 | 60万円で売却した場合 |
110万円-100万円=10万円 10万円×20.315%=20,315円の税金 |
購入価格(100万円)を下回っているので 税金は発生しない |
NISA口座で運用中に、株価/基準価額が下落し、その後に課税口座(特定口座/一般口座)に移管をした場合、取得単価が購入価格より安くなるので、利益が出た際に支払う税金が多くなります。
NISA口座で購入した時よりも「株価/基準価額」が下落した場合は、移管後に上昇をすると思わぬ税金が発生する場合があります。
3.ロールオーバーで新たな非課税枠へ移行する
ロールオーバーは非課税口座を「繰り越す」制度です。
繰り越す際は、その年の非課税枠を消費します。
ロールオーバーの金額に上限はありません。全額を繰り越すことが可能です。
たとえばNISA口座で購入した株価が200万円に上昇していたら、ロールオーバーして、200万円を新たな非課税枠へ移行できます。
ロールオーバー後、利用できる非課税枠は?
ロールオーバー後に利用できる非課税枠は、移行してきた金額により異なります。
- ロールオーバーの金額が120万円以上の場合。
すでに年間上限の120万円を超えているので、その年の非課税枠は利用できません。 - ロールオーバーの金額が120万円未満の場合。
120万円に達するまで非課税を利用できます。
ロールオーバーの金額が100万円の場合、残り20万円の非課税枠を利用できます。

ロールオーバーの手続き方法
ロールオーバーするには、NISAを利用している証券会社で手続き(申込み)が必要になります。
参考までに、マネックス証券はその年の9月に書類が送られ、期限は11月末まででした。
ロールオーバーの手続きをしない場合は、特定口座に移管されます。
(特定口座を開設していない場合は一般口座)
詳しい内容や注意事項は、証券会社から案内が来ると思いますので、そちらを見て確認してください。
非課税期間の終了は意識しておこう
NISAは長期投資向きの制度。
株を買ってほったらがしになりがちです。
NISAの非課税期間を延長したい場合は、ロールオーバーの手続きが必要となりますので覚えておきましょう。

また、課税口座へ移す際の取得単価は、買値ではなくその時の株価になることも覚えておきましょう。
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