インサイダー取引とは?
Q:質問
村上ファンドで騒がれてるインサイダー取引とは?
A:回答
インサイダー取引とは、企業の重要な情報に接触する立場にある「インサイダー」が、その情報を利用して自己の利益を追求する行為を指します。
- 未公表であり株価に影響のありそうな「財務情報や新製品の開発情報」を、
- 「会社の内部者情報を得る立場にあるもの」が、
- 「世間に発表する前」に、
- 「情報公開前に売買」する行為が、
- インサイダー取引にあたります。
ちなみに、インサイダー取引により利益を得たかどうかは関係なく、知りえた情報で損失を出してもインサイダー取引になります。
目次
インサイダー取引がなぜ問題なのか
インサイダー取引は、市場の公平性と透明性を損なうため、証券取引法で禁止されています。
インサイダー取引により、特定の者だけが利益を得ることが可能となり、市場参加者間の情報格差が生まれると、市場の信頼性が損なわれ、投資意欲を阻害する恐れがあります。
インサイダー取引違反をするとどうなる?
インサイダー取引違反をすると、刑事罰と課徴金が課せられます。
- 刑事罰
- 5年以下の懲役、500万円以下の罰金(法197条の2十三)
- 法人両罰・重課規定=5億円以下の罰金刑(法207条①二)
- 没収・追徴(犯罪行為により得た財産)(法198条の2①一、②)
- 課徴金(行政上の措置)
- 自己の計算でインサイダー取引を行った者は、「経済的利得相当額」の 課徴金の納付が命じられる(法175条)
- 「経済的利得相当額」の算定は実際の利得額ではなく法定の計算方法
による。
* 重要事実公表後2週間の最高(安)値の株価×買(売)付株数ー買(売)付価格 - 制度の運用に慎重を期する観点から、納付命令の事前手続きとして、 審判手続を経ることとされている。
- 課徴金は刑事罰と併科することができ、その場合は刑事罰(没収・追 徴)の調整規定あり。
上記の刑事罰などは金融庁の資料にあるものです。(2023.5.21参照)
インサイダー取引は証券取引法違反に該当し、「5年以下の懲役、500万円以下の罰金」に罰せられます。罰金はたった500万円?と思われるかもしれませんが、インサイダー取引で得た利益もすべて没収されます。
ちなみに課徴金の計算方法(金融商品取引法)は下記のとおり。
重要事実が公表された後2週間における最も高い(安い)価格 × 買(売)株数 -
買(売)価格 × 買(売)株数
インサイダーにより得た利益はすべて没収される上、上記の追徴金をとられます。
※村上ファンドの証券取引法違反では、懲役2年、執行猶予3年、罰金300万円、追徴金約11億4900万円とした東京高裁判決が確定しました。(当時の刑事罰は3年以下、300万円の罰金)
インサイダー取引は「事前に情報を入手している者」と「情報を知らない者」で不公平が生じますので、証券市場の公平性を保つために規制されているんです。
会社の内部者情報を得る立場にあるものとは?
金融庁の資料にある「会社関係者・情報受領者」です。
金融庁の資料には上記が書かれていたんですが、上場会社等の役員のほか、社員、派遣社員、パートタイマー、アルバイト等も内部情報を知るものにあたるはずです。(どこかで見た)
上場会社にご自身や身内がお勤めの場合、インサイダー取引に関しては厳しくチェックされています。ご自身がインサイダーにあたるかどうかは、必ずお勤めの企業にご確認ください。
また、各証券会社ではインサイダー取引を未然に防止するため、口座開設時にお勤めの企業やインサイダー情報を登録します。(転職した際は情報の更新を!)
インサイダー取引の具体的な例
具体的な例としては、企業の経営陣が未公表の好決算情報を知った上で自社株を購入し、決算発表後に高値で売却するケースなどがあります。
これは、一部の人間だけが情報を得て利益を得るというインサイダー取引の典型的なパターンです。
インサイダーのたとえ話
たとえば身近な例であげると・・・
農家で働くおくさまA: 「来週から凶作で米の値段が3倍にあがるみたいですよ」
それを聞いたおくさまB:「じゃあ、今週中にたくさん買っておかなきゃ」
この時点で、おくさまBは情報を聞いていない一般の人よりも有利な状況にあり、まだ値上がりを始めていない米を安い今週中に買い占めることができます。
その後・・こんなこともアリです。
それを聞いたおくさまB:「そうだ!お米を2倍の価格でオークションで売ろうっと」
そして、おくさまBは大量に仕入れた米を2倍の価格で売り多額の利益を得ました。
メデタシ、メデタシ・・・。
・・
・・・・
・・・・・・とはならないのはお分かり頂けますでしょうか?
一部のズルいは許さない
Bの奥さまにとってはメデタシですが、一般の人から見ればBの奥さまだけ「得」をしていてなおかつ、事前の情報により得た「お米が値上がりする」というのを知っていたため、大量に仕入れたお米を他者に売却し、利益まで得ています。
「Bの奥さまだけズルいなぁ」・・・と感じる方も現れるでしょう。
では、世間に対してニュースなどで「来週からお米の価格が3倍になります」と発表したらどうでしょうか?こちらはみなが同じ情報を同じ時期に入手しますので公平性があります。
株式投資市場でもこの一部の者の「ズルい」をタブーとしており投資家の公平性を保つためにインサイダー取引を禁止しているんです。
知人に上場企業に勤める「会社関係者」の方がいる場合、株価に影響を及ぼすような情報を得て売買をしても、インサイダー取引に該当しますので注意しましょう。
情報をどこからか入手して、「これってインサイダー取引に該当するかな?」と疑問を持った場合には、取引をする前にお勤めの企業に確認をしてください。
インサイダー取引に関する質問
企業はインサイダー取引をどのように防ぐことができますか?
企業は内部情報の管理強化や適切なコンプライアンス教育を通じてインサイダー取引を防ぐことが可能です。情報の不適切な流出を防ぎ、従業員に公平な取引の重要性を理解させることが求められます。
私が誤ってインサイダー取引を行ってしまった場合はどうなりますか?
誤ってでも、内部情報を基に取引を行うと、それはインサイダー取引となり得ます。非公開情報を得た場合は、その情報が公になるまで取引を控えることが重要です。
インサイダー取引はどのようにして発見されるのですか?
金融監督当局は、異常な取引パターンやタイミングを調査することでインサイダー取引を発見します。また、内部告発者からの情報提供も一部のケースを解明する重要な手段となっています。
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