日本で進化したFIREの形とは?最新のFIREムーブメントを解説
こちらの記事は、2018年にFIREを達成された「かつさんどさん」による寄稿記事です。
最近はますます注目度が高まっている「FIRE」(経済的自立による早期退職)。
テレビや雑誌でも特集が組まれ、「FIRE」という言葉を見聞きする機会も増えたと思います。
最近FIREは考え方や捉え方にも変化があり、日本で独自の進化をしている印象があります。
今回は多様化したFIREと、日本に適したFIREを考察していきます。
目次
FIREムーブメントとは?
「FIRE」とは、Financial Independence Retire Earlyの頭文字を取った言葉で、アメリカ発祥のライフスタイルの一種です。
2010年代から徐々に広がりを見せ、日本では数年前からFIREというワードを聞くようになり、その歴史は浅いです。
FIREの基本的な概念
FIREの概念は、年間生活費の25倍の資産を形成しそれを4%で運用すれば、資産を減らさずに生活していける「4%ルール」という考え方が基本です。
FIRE達成に必要な資産は、下記の通り。
- 年間生活費が200万円であれば、200万円×25倍=5,000万円
- 年間生活費が300万円であれば、300万円×25倍=7,500万円
資産5,000万円を年4%で運用できれば、200万円増え、こちらを生活費に充てれば資産が減らず。
このようにFIREとは、その人の支出により必要な資産が大きく変化します。
FIRE達成には、
- 収入を増やす
- 支出を抑える
- 投資で増やす
この3つの項目を計画的に進めることが重要です。
FIREムーブメントはアメリカ生まれた後、ヨーロッパの主要国に広まったとされています。
その歴史はまだ浅く、アメリカでは2010年代から徐々に広まり、日本では数年前からFIREというワードをよく聞くようになったばかりです。
アメリカでのFIREの種類は、ファットFIRE、リーンFIRE、バリスタFIREなどがあります。
次からは主なFIREの種類を解説していきます。
FIREの種類とは?
FIREの種類です。
Fat(ファット)FIRE
Fatは「豊かな、ふくよかな」という意味です。
大きな資産を形成し、投資などによる不労所得や資産の切り崩しだけで、きらびやかな生活ができ、労働の必要もないFIREを指します。
従来からあるアーリーリタイアの考えに近く、資産額としては3億円以上の超富裕層と言われる層をします。いわゆる「一生遊んで暮らせる」状態に近いFIREです。
多くの人が夢見る、理想的なFIREの形ですが、少なくとも数億円の資産形成が必要で、これが達成できるのは限られた人のみと言えます。
Lean(リーン)FIRE
Leanは「引き締まった、やせた」という意味です。
必要最低限の生活を目指し、支出を抑えるために節約を行いながら、「ギリギリでFIRE」を達成している状況です。
リーンFIREは、ミニマリストの考えと経済的な自由獲得の概念が融合した新しい生活様式と言えます。
ミニマリストは、必要最低限の物だけを所有し、節約やライフプランの見直しにより、支出を抑えながら身の丈に合った暮らしをしていくライフスタイルです。
アメリカのFIREと言うと、このリーンFIREをイメージする人が多いようです。
リーンFIREは、生活に必要な支出を節約により最低限度まで切り詰めることで、通常のFIREができるくらいの資産形成がされていなくても、早期にFIREを達成しようという考え方です。
Barista(バリスタ) FIRE
Baristaはコーヒーを淹れるバリスタを意味します。
バリスタFIREはフルタイム労働をやめて、アルバイトなど軽い労働や副業の収入を、投資での不労所得と組み合わせて、収入>支出の状態を作るFIREです。
リーンFIREの必要最低限の生活は望まず、ファットFIREほどの資産形成が不可能な場合、バリスタFIREが選択肢に入ります。
バリスタFIREが広まった背景には、アメリカの社会保障の制度が深く関係します。
アメリカは、日本ほど年金や健康保険などの社会保障制度が手厚くなく、病気をして通院すると莫大な医療費がかかることも少なくないそうです。
ある程度の資産形成ができた時に、フルタイムの労働はリタイアし、自分の好きな仕事内容のアルバイト先で保険に加入するという考え方です。
その象徴的な仕事がスターバックスコーヒーでのアルバイトのようで、「バリスタFIRE」と名付けられたという説だそうです。
バリスタFIRE労働収入を得る必要がありますが、極端な節約を強いられることや社会との接点を無くすことなくFIRE生活が送ることができる点はメリットと考えることができます。
日本で進化しているFIREの形
FIREは日本でここ数年、雑誌やテレビなどで取り上げられる機会も多く、FIREブームと言っても過言でないような状況になっています。FIRE関連の書籍も多く出版されています。
日本では数十年にわたり、会社員の給与が横ばい傾向で、社会保険料や物価は上がっているため、手取り収入が減少している社会情勢もFIREが注目される要因だと思います。
日本でFIREが浸透するにつれ、独自の進化を遂げている印象があります。
最近では日本独自の種類として、「フルFIRE」、「サイドFIRE」というワードが使われるようになってきました。 こちらを解説していきます。
フルFIRE
ファットFIREの考え方に近く大きな資産形成ができ、投資などによる不労所得のみで、労働所得の必要が無くアーリーリタイアすることを指します。
従来からあるリタイアの概念に近く、理想的なFIREの形ですが、達成までの資金的ハードルは高く、限られた人だけが達成可能なFIREと言えます。
普通の会社員がフルFIREを達成することは、余程の投資スキルが無いと難しいと思います。
サイドFIRE
リーンFIREとバリスタFIREを組み合わせたスタイルが、日本で「サイドFIRE」と呼ばれるようになり、日本独自のFIREの形と言えます。
フルFIREほどの資産が形成されていなくても、投資での不労所得と労働収入や副業での収入を組み合わせることにより、FIRE達成の資金的なハードルは低くなります。
日本でFIREを目指すなら、サイドFIREが現実的で、日本の社会保障制度や経済状況に合っていると私は考えます。
アメリカと違い、日本は国民皆保険制度であるため、実は日本はFIREを目指すには適している国ではないかと感じています。
サイドFIREの概念
サイドFIREは、形成した資産を元手に投資での不労所得と、少しの労働や副業での収入を組み合わせて、収入>支出の状態にするFIREの方法です。
ライフプランの見直しによる支出の最適化もサイドFIREでは必要な要素となります。
サイドFIREは、労働収入や副収入と組み合わせることにより、FIREに必要な資産を低下させるメリットがあります。
例えば、年間生活費が200万円で、100万円の副収入がある場合、投資などの運用で100万円が得られれば、資産を減らさず生活していけることになります。
つまり、本来FIRE達成には5,000万円必要とされていたケースが、理論上では、半分の2,500万円でFIREできることとなります。
投資失敗による資金の減少や、4%以下でしか運用できないケース、想定外の出費による元本の減少などのリスクはありますが、この必要金額であれば、サラリーマンでも達成可能な目標と思えるため、サイドFIREを目指す人が増えているのだと思います。
FIREとは「ライフスタイル」の一種
FIREは達成がゴールではなく、達成後の生活をいかに楽しめるかが重要だと私は思います。
最近FIREを批判する論調も多くありますが、本人が楽しめていればそれで良いのではないかと私は考えており、人のライフスタイルに他人が意見するのも粋ではないと思います。
FIREは多様性を受け入れながらも自分らしく生きることであり、競争社会からの卒業でもあると考えています。FIREを達成すると、あまり人のことは気にならなくなりました。
またFIREする前から、「時間を持て余してしまうのではないか?」、「社会との接点が無くなり孤独でつまらない人生になるのではないか?」と思う人はおそらくFIREに向いていない可能性があります。
むしろそちらの価値観の方が正しいとも言え、FIREを考えずに会社で普通に頑張ることが幸せに繋がるのかもしれません。
このようにFIREは、向き・不向きがあり万人向けのライフスタイルではないと感じています。
私や私の周りのFIRE達成者は、自由を謳歌して毎日を楽しんでいる人ばかりですが、経済的自由とは言え、投資やお金には縛られている状態であるのも事実です。
時に今のFIRE生活の継続性に不安を覚えることもあり、決してストレスフリーではありません。
それでも日々、投資手法やライフプランを見直し、FIREを継続させようと考えている時間も嫌いではないため、私はFIREに向いているのだと感じています。
FIREはまだ歴史も浅く、認知度が上がったとは言えマイノリティな存在であることに変わりはありません。
しかし、今後FIREが様々な要因の中で、どのように変化していくのかも注目していきたいです。
私は今後も、FIREを目指す人、FIREを目指さないにしても投資を始めたい人に向けて、FIRE達成者として良い情報発信ができればと思っています。
名古屋市在住、40代の投資家です。家族構成は妻と2人暮らしです。
大学卒業後、海外高級ブランドの日本法人に就職しましたが、入社してすぐにサラリーマンに限界を感じ、投資家になりたいと漠然と思いました。
百冊以上本を読み、株式投資などを実践し、失敗をしながらも自分なりの投資戦略が確立でき、資産を徐々に増やしていきました。
住居兼投資物件として購入したタワーマンションの売却益により、目標としていた資産に到達できたので2018年に会社を退職し、今は「FIRE」という生き方をしています。
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