年末は節税対策と気分リセットで含み損の損切りと買い直しも有効

損切り

今年、利益がでている方へ。

ポートフォリオに含み損銘柄がある場合、損切りまたは、損切りして買い直したほうが年内の利益が圧縮され、節税になります。

また、ポートフォリオから含み損が消えるので、気持ち的にもラクになります。

年末に向けてポートフォリオも大掃除しておくと、新年も気分よく迎えられるかもしれません。

実践する必要性が高い方法ではありませんが、参考までにご紹介します。

利益に対して税金が発生する

証券会社の口座の違い

株式投資では売却益に対して、合計20.315%の税金が発生します。

2022年の利益が10万円なら、20,315円が税金で徴収されます。

徴収のタイミングは、口座の種類により違います。


特定口座 税金の徴収方法
特定口座 
源泉徴収あり
利益確定するごとに証券会社が代わりに徴収する。
確定申告は基本的にいらない。
特定口座 
源泉徴収なし
年間の売却益が20万円以上の場合、確定申告をして税金を収める。
20万円未満の場合、確定申告いらず。

約8割の方が「特定口座 源泉徴収あり」を選択されているそうです。

口座の違いについて詳しく知りたい方は参考記事をどうぞ。

年間の売却益を減らせば税金も減る

売却益に対して、決められた税率の税金を支払います。

よって、年間の売却益を小さくすれば、収める税金も小さくなります。

含み損の株を売却すれば損失が確定するので、売却益が小さくなります。

ワンポイント

年間の売却益が10万円の場合。

  • 何もしない
    • 10万円×20.315%=20,315円の税金が発生。
  • 節税対策で5万円分の含み損を損切りする
    • 10万円-5万円=5万円の売却益に。
    • 5万円×20.315%=10,157円の税金が発生。

含み損銘柄を損切りすることにより、年間の売却益が圧縮。
収める税金額が減りました。

ちなみに、特定口座 源泉徴収ありの場合、払いすぎた税金は自動的に口座に戻ってきます。

損切りは節税になり新年も気持ちよく迎えられる

年間で売却益がでている場合、損切りによるメリットは3つです。

  1. 節税になる
  2. 損切りにより資金が開放される
  3. ポートフォリオの含み損が消え、気分的によくなる

節税についてはこれまで説明してきた通りですが、ポートフォリオの見た目がよくなると、心理的に気分が軽くなりオススメです。

カブスルは積極的に損切りする派ですが、損切りをしない派もいらっしゃいます。
ご自身の性格や考え方により選択してください。

ただ、ひとつ言えることは利益確定ばかり行うとポートフォリオは劣化します。

含み損銘柄の対応策は4つ

個人的に、利益がでている年の含み損銘柄への対応策は4つあると思います。

各対応策への個人的な見解も書いていきたいと思います。

メリット デメリット
何もしない 現状維持 現状維持
損切り 節税になる。
投資資金が開放される
個人的には特になし
損切りして
同価格で買い直す
その年の節税になる。
買付単価が下がり、ポートフォリオの見た目は良くなる。
ひと手間かかる
ナンピン買い 保有の気持ちが強いならオススメ。 保有株数が増えるので下落時に含み損が増える。

どれを選択するかは、投資方針や投資金額、持ち株や年間の利益などにより個々の判断になるかと思います。

ナンピン買いについては、参考記事にて詳しく書いています。

保有を続けたい方も、いったん損切りして買い直す方法も検討

節税に興味はあるけど、株を手放したくない!

という方は、損切りして新たに株を買い直してみてはいかがでしょうか?

基本的には、新たに買い直した株は買付単価が以前より低くなるはずです。

現在の株価1,000円

  • 過去に2,000円で100株購入。買付単価は2,000円。(10万円の含み損)
  • 1,000円で損切り。
  • 1,000円で再購入。買付単価は1,000円。以前より低い単価なので、含み益になりやすい。

これで、とりあえずポートフォリオの見た目はよくなります(笑)

ただひとつ注意点としては、買い直しで今後 利益になりやすいってことは、買い直し前より利益確定時に支払う税金額もその分 大きくなるということです。つまり、支払う税金を先送りしただけです。

赤字だらけのポートフォリオを見るよりも、黒字の方が気分がいいですよね?
個人的には気分転換にもなるので買い直しが良いかなぁと思います。

年末になると、節税目的なのか同じ株を頻繁に買い直ししている方を見かけます。

下がるたび買い直ししているってことは、それ下落中の株なんです。
買い直すんじゃなくて、損切り(サヨナラ)も検討したいところです。

節税の損切り後に、買い直す方法と注意点

カブスルが実践している、節税後に買い直す方法は2つあります。

  1. 損切りし、翌日以降に買い戻す
  2. 損切りし、同日に他の証券会社で買い戻す

カブスルは通常は「1」で買い戻しを行い、株価の変動が大きいときは「2」で買い戻しています。

それぞれメリットとデメリットがありますので紹介します。

損切りし、翌日以降に買い戻す

一番、思いつく方法かなぁと思います。

メリット かんたん
デメリット 株価が翌日以降に変動する(良くも悪くも)
先に手放すので、株主番号が変わる可能性あり(回避方法も紹介)

カブスルも、損切りを行った株を翌日以降に買い直ししています。

(例)A株を2,000円で100株 保有。現在の株価が1,000円の場合。

  1. A株を1,000円で損切り(10万円の損失)
  2. A株を翌日以降に買い直し(例えば1,100円や900円など)

10万円の損失は節税に使われ、新たに安く買い直すことができました。

ちなみに、翌日以降としているのには理由があるんですが、知らなかった!という初心者の反応が多いので、こちらでご説明します。

同一日の売買は、買い付けが先に計算され、買付単価が予想より高くなる

チョットだけ、一緒に考えてみましょう。

(例)A株を2,000円で100株保有。
同一日に1,000円で売却し、900円で100株買い戻した際の買付単価はいくら?

A:900円!

では ありません。

買いと売りの注文が同一日にあった場合、特定口座の制度上、買い注文(取得)から先に計算されます。

注文の流れとして、先に損切りし、新たに買い直した場合。

  1. A株を2,000円で100株保有。
  2. 保有しているA株を1,000円で100株売却。
  3. 新たにA株を900円で100株購入。

注文時間では売り注文が先ですが、特定口座では買い注文(取得)から計算します。
買付単価は、(2,000円 + 900円)÷ 2 = 1,450円

買付単価は1,450円になります。

先に注文をだした売り注文も、1,450円の買付単価で計算されます。

  • 保有しているA株を1,000円で100株売却。
    (1,000円-1,450円)×100株= 4万5千円の損失

同一日に損切りと買い直しを行う場合、買い注文が先に計算されるというのを覚えておきましょう。

また、それにより買い直し単価が予想より高くなります。

ワンポイント

  • 同一日に買いなおす場合
    • 取得単価は1,450円に
    • 損切りで4.5万円の損失に
  • 翌日以降に買いなおす場合
    • 取得単価は900円に(安い取得単価になる)
    • 損切りで10万円の損失に(損失額が大きく、年間の売却益を圧縮できる)

カブスルも初心者の頃は、このワナに気づきませんでした。
安く買い直したはずが・・・なんだか高いなぁと(苦笑)

損切りにより節税を考えている方は、翌日以降に買い直しを検討しましょう。

値動きを気にする方には向いていない

売った次の日、株価が上昇していたらどうするんですか?というご質問を頂きました。

結論としては、気にしないことで、株価は常に動くので対応策ありません。
(逆に売った株価より安くなって得する場合もある)

なお、損切りして買い直す方法は、含み損の下落率が大きい時に有効です。

下落率が2~5%など低いときは、一日で株価を戻すこともザラにありますので、その際は無理して買い直さなくても良いかと思います。

銘柄により一日の変動幅にクセがあると思いますので、過去の値動きをチェックされるのがいいと思います。

株主番号を維持する裏ワザ

株主番号というのは、株主に割り当てられる番号です。

優待株の場合、1年以上保有など長期期間 株主であることで、優待内容がグレードアップする「長期特典」がある場合があります。

例として、オリックス(8591)の場合、100株以上の保有で、カタログギフトをもらえます。
3年以上保有すると、カタログギフトがワンラックアップします。

継続保有をしているかを確認するのが、株主番号になるのですが、持ち株をすべて売ってしまうと、株主番号がリセットされます。

厳密にはすぐにリセットされるわけではないようですが、リセットされると考えて取引するほうが安心して対応できます。

持ち株をすべて売らなければ株主番号が変わらないということは、1株でも保有していればOKです。

カブスルは、1株購入に便利なマネックス証券のワン株にて、継続特典がある株はすべて1株ずつ購入しています。(100株購入したら、すぐに1株購入するので、基本的には101株保有)

1株保有の裏ワザを使うことにより、売りたい!と思った時にすぐに売り、翌日以降に買い直しをしていますが、株主番号が変わらずにいます。

なお、長期保有特典は株主番号のほかに、株数が条件になっている場合がありますのでご注意を。
詳しい説明は下記の参考記事にてご確認ください。

買い直しを行う場合、権利付き最終日付近は避けたほうが無難だと思います。

損切りし、同日に他の証券会社で買い戻す

こちらもカブスルがよく行う方法です。

先ほど紹介した方法は、翌営業日以降に買い直すので、株価の変動により売った日の株価と違う株価での買い直しとなります。

通常の株ならばそれほど気にならないんですが、上場直後のIPOやニュースがでている株などは、取引が活発になり、株価の変動が大きくなります。

株価の変動が気になる場合、売却した証券会社とは違う証券会社で買い直しを行っています。

メリット 同日に売買ができる。
同一株価で取引できる。
デメリット 損益が複数の証券会社になる。
確定申告をしたほうがお得な場合あり。

特定口座は、買い注文(買付)が最初に処理されますが、それは同一証券内のハナシです。

異なる証券会社の場合は関係ないので、カブスルは次のように取引しています。

要は、保有している証券会社と違う証券会社で買いなおせば同一日でもOKということです。

同一時間、同一価格で売買しよう

注意点としては、法令で禁止されている「仮装売買」の疑いを持たれないように、同一時間、同一価格で売買しましょう。

同一時間、同一価格で売買するには、取引時間が始まる前に成行注文を出すのが一番です。

  1. 取引がはじまる9時前に成行注文を出す。(A証券で売り、B証券で買い)
  2. 前場が終わり、後場がはじまる前の時間帯(11時31分~12時29分)に成行注文を出す。

上記の条件で売買すると、A証券(売り)とB証券(買い)の約定価格と約定時間が一緒になります。

よく分からない場合は、無理にこの方法を行わず、翌日以降に買いなおす方法を行いましょう~。

異証券売買の場合は確定申告も視野にいれよう

一社だけではなく、複数の源泉徴収ありの特定口座で取引している場合、確定申告による損益通算によって税金が戻ってくる場合があります。

損失通算とは、利益と損失を差し引きして、利益を小さくすることによって税額を抑えたり0円にしたりできる仕組みです。全体がマイナスになったら税金はかかりません。

複数の証券会社で取引をしていて、ある証券会社では利益が出て、もう一方の証券会社では損失が出た場合などに相殺できます。

損益通算が有効なケース

  • A証券会社で利益が出ている。
  • B証券会社で損失が出ている。

特定口座は自動的に損益通算されますが、それは同じ証券会社内でのハナシです。
異なる証券会社同士の損益通算は、確定申告をしなければ損益通算されません。


紹介した2つの方法のメリットとデメリットです。

買い直しの方法 メリット デメリット
損切りし、翌日以降に買い戻す かんたん 株価が翌日以降に変動する。
先に手放すので、株主番号が変わる可能性あり。
損切りし、同日に他の証券会社で買い戻す 同日に売買ができる。
同一株価で取引できる。
損益が複数の証券会社になる。
確定申告をしたほうがお得な場合あり。

損失が少ない株は買い直しを見送ろう

買い直しは、年内の売却益が大きく、含み損が大きい場合に有効です。

含み損銘柄が買値の5%未満くらいであれば、一日でそれくらい変動することもあるので、無理に損切り&買い直しを行わなくてもよいと思います。

また、さきほど述べたように、支払う税金を先送りしているだけなので、無理にやる必要はまったくありません。

買い直しに関するご質問

このページにお寄せ頂いた質問です。クリックで展開します。

2022年中に買い戻しを行えばいい?

はい。そうなんですが、注意点として、株式投資の売買には「受渡日」というものがあります。

受渡日とは、約定日を含めて3営業日後の注文が決済される日です。

2022年の大納会(最終日)は、12月30日(金)。
受渡日があるので、12月28日(水)までの取引が年内の取引になります。

できれば、余裕をもってもう少し早めに取引されるのがいいと思われます。

仮装売買とは?

カンタンに説明すれば、相場の取引に影響するようなことを行って、公平な取引の邪魔をすることです。

頻繁に取引を行って他の投資家に注文が多いと誤解させたり、時価総額が小さい小型株だと100株の売買でも価格が上下にふれやすくなるので、そういった取引が禁止されています。

損切りによる買い直しや、優待タダ取りで行うような、少額の取引で事件化した例は聞いたことがありませんが、ご注意ください。

信用買いをして、現引しても買い戻しになる?

買い戻しになります。

注意点としては、信用買いの間は、購入者が株主となりません。
また、金利が発生するので、なるべく早く決済されたほうがいいと思います。

現物取引 購入者が株主
信用取引 株式は証券会社の担保なので、購入者が株主ではない

信用取引を行ったことがない方は無理をせず、カブスルが行っているやり方がカンタンかなぁと思います。

益出しと損出しは一緒ですか?

益出しとは、利益確定のことで、企業が決算対策として行ったりします。

損出しという言葉は、証券会社内で調べてもでてきませんでした。
おそらく、益出し(利益確定)の反対語としてそう呼んでいるんじゃないでしょうか?

利益確定と損切りなので、意味は一緒ではありませんが、やっていることは似たようなことだと思います。


こちらのページはカブスルが実践している方法を紹介させて頂きました。
このページに書いてあることは参考程度にどうぞ。

なお、年末に近づくほど、同様の考えでいったん損切りを行う方が増えると思いますので、できれば11月にでも一度 行われるのをオススメします。(利益がでている場合)

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