年間で大損したら確定申告を検討しよう!

「 みなさん、今年は利益を得られそうですか? 」

「 損失でてるよ!この野郎! 」と思われた方。 すみません・・・ m(_ _)m

今回は、年間で損失を出した場合は、

「確定申告を検討すると節税になるかもしれませんよ。」

という「損失の繰越控除」に関する 多少お役に立つお話です。
初心者向けに分りやすくザックリと解説していますのでご了承お願いします。

確定申告とは?

確定申告

確定申告とは、国民が1年間における所得を国に自主的に申告して、所得内容によって国に納める税金(所得税)を決めるものです。

所得を得た翌年の2/16~3/15の間に税務署に「申告書」を提出する方法で行います。

2019年は2月18日(月)~3月15日(金)の間です。

できれば早めに準備されるのをおすすめします。

  • 書類の不備に早く気づく(特定口座年間取引報告書はありますか?)
  • 税務署などで相談したい場合、2月の方が空いている。

サラリーマンの場合は、「源泉徴収」と「年末調整」によって会社が代わりに税金を納めてくれているので、自分で確定申告をしたことがない人も多いかもしれません。


さて、株式投資もこの「確定申告」と関係があります。

なぜなら、投資によって得られた利益は申告が必要な「所得」のひとつだからです。

ワンポイント

株式投資をするときに証券会社で口座開設すると「特定口座 源泉徴収あり」と「特定口座 源泉徴収なし」を選択できます。

この中で「源泉徴収あり」を選んだ方は「証券会社が代わりに税金を税務署に収めている」ので、確定申告を自分で行う必要がありません。

ただし、「確定申告する必要がないだけ」で、申告することは可能です。

こちらで紹介するように「源泉徴収あり」でも確定申告を行った方がお得な場合があるので、ぜひともチェックしてみてください。

また「特定口座 源泉徴収なし」の場合には、サラリーマンでも年間で20万円以上の売却益が出たら確定申告を行う必要があります。詳しくは下記をご確認ください。

特定口座と一般口座の違いは?

証券会社の口座には、特定口座と一般口座の2種類があります。

口座の種類 年間取引報告書
特定口座 証券会社が自動で作成してくれる。
完成した年間取引報告書は発送してもらえる。
取引が頻繁でも楽チン。
一般口座 確定申告を行う場合、すべて自分で作成する必要がある。
取引を頻繁に行う方は計算などが大変。

特定口座は、証券会社が株式投資などの損失や利益を計算して、「年間取引計算書」を作成してくれる口座です。

また特定口座には「源泉徴収あり」と「源泉徴収なし」があり、「源泉徴収あり」を選択すれば、自分で確定申告する必要はなくなります。

口座の種類 源泉徴収 確定申告
特定口座 あり

確定申告の必要なし!(自分でしてもOK)

証券会社が税務署に税金を納めます。(源泉分離課税)

売却益を得る度に証券会社が税金分を徴収してあなたの代わりに税金を納めます。

なし
  • 年間の売却益が20万円を超えた場合
    自分で確定申告をして税金を納めます。(申告分離課税など)
  • 年間の売却益が20万円以下の場合
    確定申告は必要ありません。

一般口座はこのようなサービスがなく、利用者が自分で中身を管理して損失や利益を計算しなければならない口座です。

年間取引報告書を作成してもらうこともできず源泉徴収もされないので、必ず自分で確定申告をしなければなりません。個人的には一般口座を選ぶメリットはありません。

「源泉徴収あり」と「源泉徴収なし」の違いについて

源泉徴収ありとなしを選べるのは、特定口座のみです。

「源泉徴収」とは、証券会社が先に税額を天引きして税務署に納める制度です。

つまり「特定口座 源泉徴収あり」を選択している場合、証券会社が税金を税務署に収めているので、基本的には確定申告の必要はありません。

株式投資で確定申告が必要な場合は?

株式投資で確定申告が必要な場合は、「特定口座 源泉徴収なし」や「一般口座」のケースで、かつ利益が損失を上回っている場合です。(年間の売却益が20万円を超えた場合)

「特定口座 源泉徴収あり」の場合や、年間の利益よりも損失が大きくなっている場合には確定申告する必要がありません。

確定申告で「損益通算」すると得になるケースがある

ただし「源泉徴収あり」でも確定申告することは可能ですし、確定申告によって得になるケースがあります。

それは、投資で大きな損失が出ている場合です。

確定申告をすると、利益と損失を相殺できるからです。
このことを「損益通算」といいます。

参考までに

たとえば、A証券会社で利益が出ていて、B証券会社で損失が出ている場合を考えてみましょう。

この場合、確定申告を行うことでA証券の利益とB証券の損失を損益通算(利益と損失を合算して税金が安くなる)することができます。※特定口座内の損益通算は自社のみ行われます。

すると損失の分、利益が減って税額が減ります。
損失が利益を上回っていたら、税金は0になります。

このように利益が圧縮され税金が安くなる場合がありますので、特定口座 源泉徴収ありの方も、年間損失が大きかったのであれば、確定申告も検討してください。

年間で損失が出ている場合は「繰越控除」ができる

年間取引が全体でマイナスの場合、源泉徴収の あり/なし に関わらず 確定申告を行う必要がありません

でも、確定申告を行うことで

損失を翌年度以降に、「最長で3年間 繰り越す」ことが可能

になり、得をする可能性があります。

この制度を「損失の繰越控除」といいます。

管理人は一度利用したことがあります。3年間、節税になりました。

損失を繰り越す???

「損失を繰り越す」なんて言葉は意味が分りづらいですよね。

簡単に言えば、今年度に発生した「損失」により翌年度以降の「利益」を「相殺」することができるんです。

たとえば、

ワンポイント

  • 2017年 年間の売却益 -50万円
    2017年の確定申告を行う。(損失の繰越)
  • 2018年 年間の売却益 +80万円
    繰越の適用(相殺) +80万円 -50万円 = +30万円
    2018年の売却益は繰越控除により +30万円とみなされる。

つまり、2017年から繰り越された50万円の損失の分、2018年にかかる税金が減ります。

参考までに

たとえば税率が20%のケースとしましょう。

  • 繰越控除をせずに+80万円の場合の税金 80万円 × 20% = 16万円
  • 繰越控除によって+30万円の場合の税金 30万円 × 20% = 6万円

どうでしょうか?
「損失の繰越」のおかげで 10万円も税金が安くなりました。

しかも、繰越控除を利用すると、損失を「3年間」繰り越せます。下記、例です。

ワンポイント

  • 2017年 年間の売却益 -100万円
    2017年の確定申告を行う。(損失の繰越)
  • 2018年 年間の売却益 +30万円
    繰越の適用(相殺): +30万円 -30万円 = 0円
    2018年の売却益は損失の繰越により 0円とみなされる。
    2017年の-100万円から-30万円分を相殺。
    2017年の損失の繰越の残りは-70万円
  • 2019年 年間の売却益 +50万円
    繰越の適用(相殺): +50万円 -50万円 = 0円
    2019年の売却益は損失の繰越により 0円とみなされる。
    2017年の損失の繰越の残りの-70万円から-50万円分を相殺。
    2017年の損失の繰越の残りは-20万円
  • 2020年 年間の売却益 +50万円
    繰越の適用(相殺): +50万円 -20万円 = +30万円
    2020年の売却益は損失の繰越により +30万円とみなされる。
    2017年の損失の繰越の残りの-20万円分を相殺。
  • 損失の繰越をしている場合
    2018年~2020年の譲渡益は30万円。
    30万円 × 20% = 6万円の税金が発生します。
  • 損失の繰越をしていない場合
    2018年~2020年の譲渡益は130万円。
    130万円 × 20% = 26万円の税金が発生します。

どちらがお得かは一目瞭然ですね (  ̄∇ ̄)

参考までに

「特定口座 源泉徴収あり」の場合、譲渡益が出る度に税金分が徴収されます。つまり税金が先払いされています。

そこで今年の年間の譲渡損益が年間でプラスでも総合課税によって税率が下がる場合に確定申告すると、先に源泉徴収された譲渡益税が還付されます。

注意!健康保険料が増額される可能性がある

では、損失が出たら確定申告がお得なんだね?

損失の繰り越し自体は、節税になるお得な制度ですが、確定申告を行ったら「全体的に見てお得かどうか」は難しい判断です。

確定申告によって損益通算すると、投資によって得られた所得が給与や公的年金などの他の所得とともに、保険料の算定対象に含まれることになるからです。

問題になりやすいのは健康保険料

問題になりやすいのは健康保険料です。

確定申告を行うことで、株式投資で得た所得が一般の所得に加算されて「国民健康保険料」など健康保険料の算定対象になってしまいます。

すると、年間の国民健康保険料が大きく上がってしまう方もいます。

また 保育料や高額療養費、児童手当やその他の行政給付などに影響が及ぶ可能性もあります。
扶養に入っている場合などは、所得金額により扶養から外れる場合があります。

確定申告により見込まれる、税額上の還付分よりも保険料等の増額分などが上回った場合は結果的に損をします。

損失額や還付される税額の金額、加入している健康保険の種類、その他の行政手当の受給状況などにより確定申告がお得か損か分かれると思います。

得になるか損になるかはケースによって異なるので、社労士や税務署、税理士さんなどの専門家に相談してください。確定申告時期が近付くと税理士による無料相談会が開催される場合も多いです。

無料相談会は人気があり混むので、できればその前に税務署に行って相談されるのがおすすめです。

所得税と住民税の申告方法を分けられる

最近導入された新しい税制度では「所得税」と「住民税」の申告方法を分けることができるようになっています。

つまり株式に適用される税制には「申告分離課税制度」「申告不要制度(源泉徴収)」、「総合課税」の3種類がありますが、新しい税制では、所得税と住民税を別々の方式で申告できるようになったのです。

所得税を「総合課税」に、住民税を「申告不要制度(源泉徴収)」にすると 税額を抑えられるケースがあります。

  • 所得税と住民税を「申告不要制度」にした場合
    所得税率は15%、住民税は5%。
  • 所得税と住民税を「総合課税」にした場合
    所得税率は累進課税、住民税は10%。

両方とも総合課税にすると、所得税率が下がるケースでも住民税率が上がるという結果が生じます。

そこで、所得税を総合課税にして住民税は申告不要制度(5%)にすると、所得税も住民税も抑えることができて、得になるということです。

2018.9.21 時点。(藤沢市のHPより

地方税法の改正により、住民税の税額決定通知書・納税通知書が送達される日までに、確定申告書の提出とは別に、市民税・県民税申告書を提出することで、住民税の課税方法(申告不要制度、総合課税、申告分離課税)を選択できるようになりました。

この市民税・県民税申告書の提出により、例として「所得税は申告分離課税、住民税は申告不要制度を選択する」など、所得税と住民税とで異なる課税方法を選択することができます。

  • 住民税において「申告不要制度」を選択
    上場株式等の譲渡所得等および配当所得等は、保険料の算定対象にならない
  • 住民税において「総合・申告分離課税」を選択
    上場株式等の譲渡所得等および配当所得等(繰越控除適用後)は、保険料の算定対象になる

国民健康保険の金額も下がる

住民税の「申告不要制度」を利用すると、住民税計算の際に株式所得が他の所得に合算されないので、健康保険料などへの影響も避けることができます。

つまり所得税は総合課税、住民税は源泉徴収方式にすると、確定申告をしても健康保険料が上がらないメリットがあります。

住民税申告不要制度の利用方法

住民税と所得税に適用される税制を分けるには、住民税の税額決定通知書・納税通知書が送達される日までに、確定申告書の提出とは別に、自分で「市民税・県民税申告書」を提出する必要があります。

意外と知られていない損失の繰り越し制度

今回は「損失」という 嫌~なお話でしたが、実はコレ、知っておいた方がよい話です。

「確定申告をすれば損失を3年間繰り越せる」

この特例はとっても役に立つ制度です。

みなさんは手元に「塩漬け株(みなし損失)」はありませんか?

塩漬け株というのは、損失が出ている銘柄の回復を待って保有している株のことですが、売ることができず「資金が凍結」されていることになります。

思い切って売却して損失を確定することにより、資金は解放され、その損失は最大で3年間、その後の利益と相殺(節税)できます。

回復が思わしくない塩漬け株は売ってしまって資金を作り、新しい株を買った方が、より良い投資ができるキッカケにもなるんです。

売却の投資判断は自己責任でお願いします。
が、知っておくと投資の選択の幅が広がる制度ですね (  ̄∇ ̄)

参考までに

損失が出ていた方で「損失の繰り越し控除」の申請をしていなかった方。

「確定申告」自体をしていなかった場合、前年から3年分をさかのぼって「期限後申告」が可能です。期限後申告するときには お近くの税務署にお問い合わせください。

ただし、上記で紹介したとおり、場合によっては保険料などの関係で全体的に損する場合もありますのでご注意を。その場合、住民税と分けて申告する方法などを検討してみてください。

分離課税と総合課税

株式の所得に対する課税方法には「分離課税」と「総合課税」があります。

  • 分離課税とは、ある特定の所得のみを分離して、他の所得とは合算しない課税方法です。
    株式については分離課税が認められています。
  • 総合課税は、いろいろな所得を合算して課税する方法です。

証券口座で「特定口座 源泉徴収あり」にして証券会社に源泉徴収してもらう場合には分離課税となるので他の所得と合算されていません。

自分で申告する場合でも、分離課税方式にしていたら他の所得と合算されず、一律の税率(所得税15%、住民税5%、合計20%)が課されます。

一方 確定申告で総合課税を選択すると、給与所得などの他の所得と合算された金額に対して税金が課されます。この場合、累進課税方式が適用されるので、所得の金額が上がればその分税額も上がる仕組みになります。

分離課税と総合課税のどちらが得?

分離課税と総合課税のどちらが得かは、所得がどの程度あるかによって変わります。

分離課税にした場合、所得税率が約15%、住民税率が約5%の合計20%となるので、総合課税方式にした場合の税率がこれより低くなっていたら、総合課税方式の方が得になります。

参考までに

参考までに所得税率です。2018.10.25時点

課税対象所得 税率 控除額
195万円以下 5% 0円
195万円超~330万円以下 10% 97,500円
330万円超~695万円以下 20% 427,500円
695万円超~900万円以下 23% 636,000円
900万円超~1,800万円以下 33% 1,536,000円
1,800万円超~4,000万円以下 40% 2,796,000円
4,000万円超 45% 4,796,000円
  • 合計所得が695万円以下の場合。
    「総合課税」を選択した方が税金が安くなる可能性がある。
  • 合計所得が695万円以上の場合。
    「分離課税」を選択した方が税金が安くなる可能性がある。

所得695万円がひとつの目安になります。

どちらも「税金が安くなる可能性がある」という目安で、実際はケースbyケースになります。
迷ったら税務署か税理士さんへの相談をおすすめします。

申告分離課税と総合課税の選び方

申告分離課税と総合課税は、確定申告の際の「申告書」を使い分けることによって選べます。

  • 分離課税方式を選択するなら
    確定申告書の第三表「分離課税用」という書類を作成しなければなりません。
    特定口座の源泉徴収ありなしでも、これを提出することによって分離課税が適用されます。
  • 総合課税方式を選択するなら
    「確定申告書B」という書類の第一表、第二表を作成して提出します。

申告時に間違わないようにしましょう。

参考までに

参考までに「分離課税」で「電子申告」をする場合の画面です。

国税庁の所得税(確定申告書等作成コーナー)を利用します。

株式の申告を行う際は「赤の枠」か「緑の枠」のものを選択します。
緑の枠はアンケート方式で入力項目が絞り込まれるので、ラクかもしれません。

赤か緑の枠を選択

いくつかの項目を入力していくと下記の画面に推移します。

分離課税を選択するには、一番下にある「分離課税の所得」にある「上場株式等の譲渡所得等」をクリックして年間取引報告書の内容を入力します。

分離課税を選択

確認・印刷時に確定申告書の第三表「分離課税用」という書類が作成できていればOKです。

2018.10.23 監修
今回の記事は専門的な知識が必要な個所が多かったので、元弁護士で法律ライターとして ご活躍されている福谷陽子さんに監修・加筆して頂きました。

監修者プロフィール

福谷陽子さん

元弁護士、法律ライター「福谷陽子」さん

京都大学法学部在学中に司法試験に現役合格。
1年修習期を遅らせて海外旅行などをした後、弁護士登録。

10年以上の間 弁護士として毎日裁判所に提出する専門文書を作成。
7年間事務所経営しており、経営や税金にも詳しい。

税理士業務に関する記事も多数執筆。

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