NISAは投資の売却益や配当金が非課税に。2024年から新NISAに
NISAは、株式投資で得た売却益や配当金にかかる税金を非課税(ゼロ)にする制度です。
2014年1月に一般NISAがスタートし、2016年4月にジュニアNISA、2018年1月に つみたてNISAがスタートしました。
こちらでは、NISAのメリット(非課税)とデメリット、3種類のNISAについて説明します。
雑誌などではNISAのメリットばかり強調されますが、当然 デメリットもあり。
現行NISAの非課税枠は特殊な仕組みで分かりづらいです。
ワンポイント
2024年から、新NISAがスタートし現行よりかなり使いやすくなる予定です。
このページでは、前半に現NISAの説明をし、後半に新NISAの説明をします。
目次
NISAのメリットは譲渡益や配当金が非課税になること
NISAの最大のメリットは、NISA口座を利用することで、株式投資や投資信託の売買で得た利益や配当金、分配金が非課税になることです(  ̄∇ ̄)
非課税対象 | |
---|---|
個別株の売買 | 売却による売却益、配当金 |
投資信託 | 売却による譲渡益、分配金 |
NISA口座を上手に活用することで、大きな節税となります。
非課税とはどういうこと?
株式投資や投資信託の売買で得た「売却益」や、株式投資の「配当金」、投資信託の「分配金」には税金が合計で20.315%発生します。
- 所得税 15%
- 住民税 5%
- 復興特別所得税 0.315%※2037年12月末まで
特定口座や一般口座では売却益(売買で得た利益)や配当金に税金がかかりますが、NISA口座の売却益や配当金は、非課税の対象となり税金が発生しません。


税金が課税されないので、非課税に。
NISA口座(非課税口座)では、利益に対して税金が発生しません。
ワンポイント
(例)A株50万円をNISA口座で購入。株価100万円で売却し、50万円の売却益を得た場合。
- 特定口座や一般口座の場合
50万円(売却益) × 20.315%(税率) = 10万1,575円の税金が発生! - NISA口座の場合
税金は発生しません(ゼロ)
配当金を非課税にするために
配当金を非課税枠の対象にするには、「株式数比例配分方式」を選択しないと非課税になりませんのでご注意ください。
- 株式数比例配分方式 ⇒ 非課税
- 登録配当金受領口座方式 ⇒ 課税(20%)
- 従来の方式(2種類) ⇒ 課税(20%)
NISA口座のメリットが・・・(泣)

配当金の受け取り方法は4つありますが、下記の記事にて詳しく紹介しています。
NISAは3種類ある
2023年まで利用できる現行NISAは3種類あります。
NISA | NISA | ジュニアNISA | |
---|---|---|---|
一般NISA | つみたてNISA | ||
開設できる方 | 20歳以上 | 20歳以上 | 0歳~19歳 |
非課税枠(年) | 120万円 | 40万円 | 80万円 |
非課税期間 | 5年間 | 20年間 | 5年間 |
投資商品 | 上場株式(国内、外国)、ETF、リートなど | 一定の要件を満たす公募株式投資信託 | 一般NISAと同じ |
損益通算、損失繰越 | できない | ||
非課税枠の繰越、再利用 | できない | ||
備考 | ロールオーバー(延長)可 | 積立投資のみ | 18歳まで原則、払い出しできない |
20歳以上の成人が利用できるNISAが二種類で、20歳未満の未成年が利用できるNISAが一種類です。
一般NISAとつみたてNISAは同一年での併用はできず、どちらかを選択する必要があります。詳しくは各ページにて。
非課税枠とは?一般NISAで説明
NISAには「非課税枠」という概念があり、これが初心者に分かりづらい仕組みとなっています。
文字通り「非課税」の対象となる「投資枠」になり、NISA口座を開設することで非課税枠を利用できます。利用といっても、NISA口座で株や投資信託を購入(買付)するだけ。
一般NISAにおける非課税枠を「イメージ」として言葉で表すと下記になります。
- NISA口座は1つの非課税枠が1年ごとにもらえます(2023年まで)
- 1つの非課税枠で120万円まで、対象の金融商品を購入できる
(2014年~2015年は上限100万円) - 非課税枠の有効期限は5年間
- 非課税枠は繰り越しできません(利用しなかった分は消滅)
分かりづらいので、一般NISAを例にしてイラストを交えて「非課税枠」の説明をします。
1つの非課税枠で120万円までの投資が可能
非課税枠の上限は120万円です。

NISA口座の購入は、上限120万円内で年内の取引分が対象となります。
売却については、いつでも出来ます。(非課税枠の有効期間内であれば非課税に)
非課税枠は2014年と2015年は上限100万円で、その後 120万円に拡大されました。
分散して購入するのも可能
非課税枠は、合計120万円以内ならどんな買い方をしてもOKです。
一回で120万円分を購入してもよいですし、一回目に80万円分、二回目に10万円分、三回目に30万円分と複数の銘柄を分割して購入してもOKです。

また、国内株式を60万円分、外国株式を40万円分、投資信託を20万円分というように、金融商品を織り交ぜて購入することも可能です。

120万円を超えるものは購入できない
NISA口座では 120万円を超えるものは購入できません。

分割購入でも同様です。
一回目に100万円分を購入した場合、二回目以降に20万円を超えるものは購入できません。

利用した非課税枠は再利用不可
利用した非課税枠は 再利用ができません。(使い切りのイメージ)
たとえば、120万円の銘柄を1つ購入し売却すればその非課税枠は終了となります。

上記のイラストの場合、80万円分の株を売却して空いた箇所に、追加で80万円分の枠の再利用(再購入)はできません。
使った枠は売っても復活しないので、短期売買に向いていません。
毎年120万円の非課税枠が追加される
毎年120万円の非課税枠が追加されます。

参考までに
2014年から2023年までの10年間 非課税枠が毎年追加されます。
利用しなかった非課税枠は繰り越しできない
利用しなかった非課税枠は翌年以降に繰り越せません。
利用しなかった非課税枠は消滅します。

上記のイラストの例だと、利用しなかった40万円分の非課税枠の空き枠を翌年以降に利用できません。
非課税枠の期間は5年間。その後は売却するか、他の非課税枠へ移行する
1つの非課税枠の期間は最長5年間です。(5年目の年末まで)
5年経った後は、下記のいずれかを選択する必要があります。
- 期限前に売却する
- 課税口座(特定口座/一般口座)へ移す
- 他の新たな非課税枠へ移行する(ロールオーバー)

「3」のロールオーバーに上限金額はなく、上限額120万円を超えていても、全額をロールオーバーすることができます。
NISAのデメリットは損失時に節税ができないこと
NISAのデメリットは何と言ってもコレ・・・
NISA口座で発生した損失は、他の口座で得た利益と損益通算できない
損益通算できないのが、非常に大きなデメリットです。
初心者向けにごく簡単に説明すると、NISA口座で損失が出た場合には「節税」ができない! ということです。
損益通算できないとはどういう事?
「損益通算」とは、「利益」を「損失」で相殺できないということです。
株式投資の利益には税金が発生しますが、利益を損失により圧縮することで、節税に繋がります。
NISA口座と証券会社などの通常の特定口座における取引の例で比較してみます。
1. 特定口座にて株式投資を1年間 売買した場合
- 特定口座の A銘柄 で 100万円の利益
- 特定口座の B銘柄 で 40万円の損失
- 特定口座の C銘柄 で 20万円の損失
- 税金の対象になる年間の利益は 100万円 - (40万円+20万円) = 40万円の利益
- 税金は … 40万円 × 20% = 8万円(税金)
損益通算して利益が圧縮され 年間利益40万円にかかる税金は8万円になる。
2. 特定口座とNISA口座にて株式投資を1年間 売買した場合
- 特定口座の A銘柄 で 100万円の利益
- 特定口座の B銘柄 で 40万円の損失
- NISA口座の C銘柄 で 20万円の損失
- 特定口座における税金の対象になる年間の利益は 100万円 - 40万円 = 60万円の利益
- NISA口座における損失は課税されません
- 税金は … 60万円 × 20% = 12万円(税金)
特定口座内の利益や損失は損益通算ができるが、NISA口座の損失は損益通算されない。
よって上記に比べてNISA口座内の20万円分の損失分は対象とならず税金は12万円となる。
いかがでしょうか?
上記の2つのパターンを比べた場合、NISAで損失を出しても「損益通算」がされないため、節税がされず上記の例では4万円の税金の差となります。
ちなみに、NISA口座同士の利益と損失も損益通算されません。
3. NISA口座にて株式投資を1年間 売買した場合
- NISA口座の A銘柄 で 100万円の利益 (100万円の投資元本の運用益)
- NISA口座の B銘柄 で 40万円の損失
- NISA口座の C銘柄 で 20万円の損失
- NISA口座の100万円の利益は非課税
- NISA口座における損失は課税されません
- 税金は … 0円(税金)
NISA口座では「100万円の投資元本の運用益」は非課税となります。
損失に関しても課税されませんから、税金は0円となります。
利益100万円は上記と同じ例にしているので極端になりましたが、それでもNISA口座では運用益に所得税がかからないという点は非常に大きなメリットですね。
NISA口座は損失の繰越控除も利用できない

NISA口座は、確定申告による損失の繰越控除の制度も利用できません。
損失の繰越控除は、3年間損失を繰越し、翌年度以降の利益を圧縮して節税できるという制度になります。
カブスル的には、この制度があるおかげで損切りもしやすい面もあるので、損失時の節税ができないNISA口座は使い勝手が悪いです。
デメリットを気にしすぎて損切りが遅れる方も多い
NISA口座は損失をだしたときのメリットが皆無のため、損切りを躊躇される方が多い印象です。
その結果、NISA口座で大損をだし、なおかつ節税にもつながらないといった取引をされている方をSNSなどで見かけます。
NISA口座とはいえ、決算が悪いなど企業自身に問題があり株価を下げているときは、損切りも考慮しましょう。
NISA口座はメリットも大きいがデメリットも大きい
これまでのNISAのメリットとデメリットをまとめると、NISA口座は、
- 利益に関しては、非課税となり、とても大きな節税ができる。
- 損失に関しては、損益通算できず、節税ができない。
といった、いわば「諸刃の剣」のような制度になります。
もちろん初めから「損失を出してやろう!」といって投資を行う人はいないと思いますので、得られるメリットを考慮すると思いますが、きちんとデメリットも把握しておきNISAを始めましょう。
NISA制度の非課税枠は ややこしい!
NISA制度の「非課税枠」の説明をしましたが、制度について理解できましたでしょうか?
非課税枠の仕組みが少しややこしいので、初心者は無理してNISAを利用しなくてよいと思います。
NISAはメリットばかり強調されますが、デメリットもありますので、天秤にかけて利用するかどうか検討してみてください。
2024年からスタートする新NISAでは、非課税枠の取り扱いが柔軟になり、現行より分かりやすくなる予定です!
新NISAは期待大!現行NISAがかなり改善されて使いやすくなる予定
現行NISAは2023年末までの運用予定。
2024年から新NISAがスタートします。
現行NISAで指摘されていた問題点が大幅に改善され、現行よりかなり使いやすくなる予定です!
項目 | 成長投資枠 |
つみたて投資枠 |
---|---|---|
開設できる方 | 18歳以上 | 18歳以上 |
年間投資枠 | 240万円 | 120万円 |
非課税保有限度額 | 2つの枠の合計で1800万円まで 成長投資枠だけ利用の場合、1200万円まで |
|
非課税期間 | 無期限 | 無期限 |
投資商品 | 上場株式、投資信託など | 一定の要件を満たす公募株式投資信託 |
大きく変わるのは、年間投資枠の拡大と非課税期間の撤廃、そして非課税枠を再利用できること!
そして売却した際の非課税枠が翌年に再利用できること。(枠の復活は買った時の金額)
また、新NISAでは成長投資枠とつみたて投資枠の併用が可能です。
ワンポイント
- 成長投資枠は、攻めの投資用
大きな利益を狙い、非課税枠を最大限活用したい
裁量型。銘柄の選定や売るタイミングも自分で決める - つみたて投資枠は、守りの投資用
コツコツ資産を増やしていきたい
非裁量型。ファンドへ投資をお任せする
カブスルも一年間だけ、マネックス証券でつみたてNISAを利用していました。
はじめた時期が良かったこともあり、成績は良好!

IPOの利益目当てで通常NISAに戻したのですが、新NISAからは攻め(IPO)と守り(つみたて)を併用できるのでとても嬉しいです。
現行NISAから新NISAへのロールオーバーは不可
新NISAは新旧分離。
別物の制度としてスタートします。
現行NISAから新NISAへのロールオーバー(持ち越し)は不可とのことです。
現行NISAで保有している株式や投資信託は、現行制度のまま非課税期間が終われば終了。
ちなみに、非課税期間が無期限になるのでロールオーバーという制度は新NISAにありません。ややこしい制度だったのでこれがなくなるのも投資初心者にとってはプラスに。
投資信託の対象銘柄は?
対象の投資信託は今のところ約1,300本。(2023.7.18時点)
年末にかけて2,000本に増える見込みとのこと。
新NISAの対象商品だと分かるよう、業界共通のマークをつけることを検討中。
ネット証券なら、対象商品の絞り込みが可能だと思います。
復活する非課税枠はどの金額?
新NISAでは非課税枠が翌年に復活します。
復活する金額は、買った時の金額(簿価)になります。
新NISA口座で20万円で購入し50万円で売却した場合、翌年に復活する非課税枠は20万円。
買い増しやナンピン買いを行っている場合、復活する金額は平均買付単価になる。
新NISA口座で20万円で100株購入し、その後30万円で100株購入。
平均買付単価は(20+30)÷2=25万円。
100株だけ売却した場合、翌年に復活する非課税枠は25万円。
カブスルはつみたて投資枠で米国株、成長投資枠で日本株やIPOを買う予定
カブスルはそれぞれの投資枠を利用する予定です。
- 成長投資枠は、攻めの投資用
- 個別株投資(長期投資)
- 個別株投資(短期)
- IPO投資(プライマリー投資)
- つみたて投資枠は、守りの投資用
- 米国株(S&P500など)
- インド株、ベトナム株のファンド
新NISAに関するQ&A
新NISAの口座開設手続きはどうするの?
NISA口座を利用している人は、自動的に新NISA口座が開設されます。
なお、現在の金融機関から新NISAでは金融機関を変更したい場合、下記の対応が必要になります。
- 現行NISAで2023年に買付をしていない人
9月までに金融機関の変更届が必要 - 現行NISAで2023年に買付をしている人
10月~11月に金融機関の変更届が必要
新NISAと現行NISAは併用できる?
別物の制度なので併用できます。
現行NISA口座の保有銘柄をそのままにしておき、新NISA口座で新たに購入することができます。
投資信託はどっちの枠で買える?
つみたて投資枠で買えるのはもちろんのこと、成長投資枠でも買えます。
積立購入か一括購入かの違いです。
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その他、現時点では不明な点もありますが、現行より使いやすくなることは間違いなさそうです。
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