株主還元策の配当金と自社株買いはどちらが良い?

上場企業が行う株主還元策。

主に利益から分配金を配る「配当金」と、自社の株式を購入して流通する株式数を減らす「自社株買い」があります。

個人投資家に人気があるのは定期的に配当をもらえる「配当金」ですが、株価の上昇を望むなら「自社株買い」の方が株価が上昇しやすくなります。

配当金は定期的に配当がもらえ、自社株買いは株価の上昇が見込める

企業が事業で得た利益の一部を還元する株主還元策。

主に配当金と自社株買いがありますが、それぞれの株主のメリットはこちら。

ワンポイント

  • 配当金
    • 配当金を定期的にもらえる
    • 継続する限り、配当金を毎年もらえる
    • 平均の配当利回りは2%超え(銀行の通常預金金利は0.1%)
  • 自社株買い
    • 市場で流通する株式の発行数が減少(1株あたり利益が増える)
    • PERやROEなどの指標が改善され、株価上昇につながりやすくなる
    • 自社の株価が目標より安いことを示唆

株主還元策は、どちらかというと「配当金」の方が個人投資家に人気があります。
銀行の預金の代わりに配当金をもらって資産を増やしている投資家も。

預金と思ってコツコツ増やす配当金

配当金と自社株買いが株価にあたえる影響

配当金と自社株買いの株価に与える影響です。

配当金 自社株買い
株価への影響 増配なら上昇しやすい
減配なら下落しやすい
株価が上昇しやすい
流通株式数 変わらず 減少
税金 発生する 発生しない

配当金は課税対象になります。

また、減配や無配になると株価が大きく下落しやすくなるので、業績の推移はチェックしておきたいです。

配当金と自社株買いの企業側のメリットとデメリット

株主還元策を行う、企業側からみた配当金と自社株買いのメリットとデメリットです。

配当金 自社株買い
企業側のメリット 個人投資家に喜ばれる。(注目されやすくなる) 業績や自社の株価に応じて自社株買いの株数を決められる。
企業側のデメリット 業績が悪くても減配・無配にしづらい。 特になし
(個人投資家に理解されづらい?)

カブスルの個人的な考えでは、企業側からみると自社でコントロールしやすい自社株買いの方がメリットが大きいと思います。

ところが、これまで株主総会などをいくつかチェックしてきましたが、個人投資家は「配当金/配当利回り」は非常に気にしますが、自社株買いはそれほど気にしない気がします。

この記事を書くキッカケになったのが、マネックスG(8698)の個人投資家向け決算説明会。

何度か見ているんですが「配当金を増やせ!」という要望の多いこと、多いこと。

マネックスGは株主還元策として、自社株買いを中心に還元策を実施していました。

ところが、あまりにも個人投資家の配当金に対する要望が多いので、自社株買いだけでなく、配当金の支払いにも余剰資金を利用することを先日、発表しておりました。

カブスルの個人的な願いとしては、自社株買い中心に株主還元策をとって欲しかったんですが・・・

配当利回りが高い企業は、成長が鈍化している

ちまたでは、配当利回りが高い企業=良い企業!

みたいな言い方をしている人もいますが、実際はチョット違います。
むしろ、配当利回りが高い企業は企業としての成長が鈍化しています。

事業で得た資金を企業がどう使うか?を考えてみましょう。

  • 成長力が高い企業(新興企業)
    • 事業で利益がでた!
    • 事業拡大のために、この資金を使おう!
    • 設備投資やシステムに投資するぞー!
    • 株主の皆様にはさらなる成長にて恩返しします!(業績アップによる株価の上昇)
  • 成長力がとまった企業(成熟企業)
    • 事業で利益がでた!
    • うーん。やることやったから、お金の使い道がないなぁ。
    • 株主の皆様に配当金で還元しよう。

以上のように、配当利回りが高い企業は、次の成長戦略が鈍化した成熟企業が多いです。

ザックリいえばお金の使い道がありません。

IPOしたばかりのベンチャー企業(新興企業)の中には、配当金をださない企業も多いです。

これは事業で得た資金で、さらなる成長を望めると企業が判断しているためです。

どちらが良い・悪いというわけではなく、安定的に配当金をもらいたいなら、業績が安定している成熟企業がいいですし、株価の上昇を期待したいなら、新興企業の方がさらなる株価上昇を見込めます。

成長力が高い米国企業も同じで、ネット通販のAmazonは配当金をだしていませんし、マイクロソフトも最初は配当金を出しておらず、成長力が鈍化してから配当金を支払うようになりました。

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