株主優待のタダ取りとは?
持ち株の企業から、商品券やギフト券、商品などを頂ける「株主優待」。
株価は日々、上下に変動していますので 株主優待を欲しくて購入したはいいが、株価が下がって損をした!・・・というのもよくある話です。
株主優待狙いの株購入で気をつけたいのが、株価の下落リスク。
このリスクを最大限に減らす方法が、株主優待のタダ取りという手法です。
一般的に雑誌等でも「タダ取り」と呼ばれているので、私もそう書いていますが、実際はタダ(無料)ではありません。多少は株価の変動リスクや手数料等が影響します。この点につきましては後ほど詳しく書きます。
おそらく「?」と感じる点が多いと思うので、順を追って説明したいと思います。
目次
株主優待をもらうまでの流れ
株主優待をもらうまでの流れをこちらで確認しておきましょう。
- 「権利付き最終日」に株を保有しておく※当日に購入しても可
- 株主名簿に記載される
- 数ヶ月後に株主優待が送られてくる※一般的には約2~3ヶ月後
株主優待をもらうのに、「権利付き最終日」という用語を覚えておきましょう。
権利確定日の3営業日前に対象の優待株を保有していないと、株主優待はもらえません。
優待株は権利落ち日に株価が下落しやすい
優待株は株主優待のGETを目的として買われることが多いです。
よって、株主優待をもらえる権利を獲得したら(権利付き最終日に保有)、翌営業日(権利落ち日)に優待株を売却する個人投資家も多いです。
投資資金を回収して、次の優待株の購入資金に充てるため。
株主優待は、「権利付き最終日」に株を購入して、翌営業日(権利落ち日)に売却しても株主権利は得られますが、株価の下落により売却損が発生することがあります。
権利付き最終日の直前に購入すると、権利付き最終日に向けて高くなっている株価で購入し、翌営業日の下落して安くなっている株価で売却をしてしまうケースがありますのでご注意を。
株主優待の価値以上に売買で損失を出しては意味がない!
株主優待をもらったのは良いけれど、売買の差額で損失を出しているケースがあります。
株主優待をもらっても、優待の価値以上に損失を出しては意味がありません。
権利付き最終日の直前で短期間で売買し優待タダ取りを狙うと、株価の下落リスクを受けやすいですが、その下落リスクを軽減する方法が「株主優待のタダ取り」です。
「つなぎ売り」と呼ばれる方法で、下落リスクを軽減します。
株主優待銘柄でつなぎ売りを行う
それでは、株主優待をタダ取りする方法であるつなぎ売り(クロス取引)について説明します。
ポイントは3つです。
- 同じ銘柄を、
- 同じ時間に、
- 同じ株数で、
買い注文(現物取引)と売り注文(信用取引)を同時に行う。
つなぎ売りを行うには、信用取引の口座開設が必要になります。
信用取引口座は各証券会社で用意されており、カンタンな審査後に口座開設が可能となります。
つなぎ売りは寄り付きで行う
信用売りを利用した つなぎ売りを確実に行うには、寄り付きで「買い」と「売り」の成行注文を出すことです。
信用売りを利用した つなぎ売りには、決まった方法があり、ルールを間違えると不公正取引(仮装売買)に該当する場合がありますのでご注意を。
株主優待のタダ取りでは、
- 「現物取引」 の 「買い注文」
- 「信用取引」 の 「信用売り(空売り)」
同時に売買注文をだして、つなぎ売りを行います。
同時に売買を約定させるのに確実なのは、寄付前(株式市場がはじまる9時前)に、成行注文で買い注文と売り注文を出しておくことです。
同時に約定させるのが目的なので、後場寄り付き前でも大丈夫です。
前場終わり(11:30)から、後場がはじまる(12:30)間の時間に売買注文。
権利付き最終日までに、(当日でもOK)
- A銘柄 「100株」を「2,000円」で「現物取引の買い注文」
- A銘柄 「100株」を「2,000円」で「信用取引の売り注文(空売り)」
権利落ち日に、
- 現物買いしたA銘柄を「現渡し(品渡)」して信用取引の売りを決済する
上記の取引を行うと、つなぎ売り(クロス取引)で購入した株は決済され、株主優待の権利(株主権利)を獲得することができます。
各証券会社のつなぎ売りの方法はこちら。
権利落ち後に決済する
優待タダ取り目的で売買した株は、株主権利(株主優待の権利)が確定したら、決済しましょう。
信用売り(空売り)で取得した株は、現物株を現渡しすることで決済されます。
各証券会社の決済方法はこちら。
同時に取引しないとどうなる?
信用取引の売建て(空売り)を利用したつなぎ売りは、同一銘柄・同一株数・同一価格が原則です。
では、これを同時に行わないとどうなるかというと・・・
仮装売買という不公正取引にあたる可能性があります。
寄付以外に当該注文を発注した場合は、現物買注文と信用新規売建注文が同じ価格で約定しないことや、不公正取引(仮装売買)に該当することがあります。
いわゆる「見せ玉」による相場操縦を防ぐ目的があります。
一般的な個人投資家には、相場操縦をおこすような資金力はないと思われますが、ルールとして定められていますので、優待のつなぎ売り(クロス取引)を行う際は、注意しましょう。
つなぎ売りとクロス取引の違い
優待タダ取りを説明するのに、各証券会社で「つなぎ売り」と説明しているところもありますし、「クロス取引」と説明していることろもありますので、参考までに2つの用語の違いです。
- クロス取引とは、同時に同じ銘柄を同じ株数、売買注文すること。
- つなぎ売りとは、保有している現物株を売らずに、信用売りをすること。
本来の意味は違うのですが、優待タダ取りではどちらの言葉も利用されています。
優待タダ取りの仕組みを考えると、つなぎ売りではなくクロス取引に近い気がします。
(つなぎ売りの方が利用されている機会が多いのでカブスルでも採用しています)
権利落ち日の下落の影響を受けない
権利落ち日に株価が下落すると、
- 買いの現物株・・・含み損がでる
- 売りの信用株・・・含み益がでる
含み益と含み損で損益が相殺されますので、実質的に損失がなくなります。
これが「株主優待のタダ取り」と言われる「ゆえん」です。
ところが、実際には「現物株を購入した時の手数料」が発生していますし、「信用売りにもさまざまな手数料」が発生します。
こちらに関しては次項「株主優待タダ取りのリスクや手数料は?」で詳しく説明します。
知らないと思わぬ損失を出す恐れもありますのでぜひ、チェックしてください。
一般信用売りは「在庫数」に限りがある
一般信用売りでは、信用売りの在庫を各証券会社で保有しています。
(証券会社が貸す株を用意してユーザーに貸している)
人気がある優待株は、各証券会社で貸す株の在庫切れを起こしやすいです。
よって、なるべく多くの証券会社で口座を開設しておいた方が無難です。
ワンポイント
口座開設している証券会社がひとつだけだと…
- 借りたい株の在庫がない…
A証券で在庫切れでも、B証券で借りられる! - 欲しい優待株がない…
A証券にはない、Cの優待株をB証券で借りられる!
優待タダ取り(一般信用取引)においては、昔からサービスを提供している松井証券やauカブコム証券は、在庫切れを起こしやすいです。
どの証券会社が優待タダ取りにおすすめ?
個人的には株主優待が検索しやすいauカブコム証券とSBI証券がオススメです。
松井証券は優待タダ取りの老舗になりますし、マネックス証券や楽天証券も、優待の在庫切れに出くわす場面が多かったら、口座開設しておきたい証券会社になります。
繰り返しになりますが、「信用売りで証券会社が貸す株」は「在庫切れ」を起こす可能性があります。(人気のある優待株や株価が安い優待株ほど、在庫切れになりやすいです)
参考までに
カブスルも先日、在庫切れで困りました。
松井証券でつなぎ売り(無期限信用売り)しようと思っていた「J.フロント リテイリング」の貸株が在庫ゼロに。
auカブコム証券で在庫があったので、無事 つなぎ売りを行う事ができました。
姉妹サイト
株主優待を主婦目線で詳しく紹介している姉妹サイト「ゆうかぶ」でも株主優待を検索できます。
1,000社以上ある株主優待から、主婦向きや家族向きの株主優待など目的別に探せます。また、主婦目線で株主優待のお得な買い方などを詳しく紹介しています。
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