赤字企業に繰延税金資産が初掲載。株価に影響ある?

グロース企業は、先行投資を行い赤字決算が続くことが多いです。

そんな企業の決算書に「繰延税金資産」がはじめて計上されることがあります。

繰延税金資産の初掲載は、黒字化への期待ができる項目となっており、数字が計上された際は要チェックです。

繰延税金資産の内容や、計上条件、その読み解き方について、初心者でも理解しやすいように解説します。

繰延税金資産とは?

繰延税金資産とは、企業が将来に生じるであろう税金の負担を現在の財務状況に反映させるための仕組みです。

具体的には、企業が損失を計上した場合、その損失分の税金を今後の利益から差し引くことが可能となります。これにより、未来の税金負担が軽減されることを現在の財務に反映させることができます。

企業がある年に大きな損失を出したとします。その損失は税務上の損失として認識され、将来の利益に対する課税を減らすことができます。この将来の税金の軽減分が、会計上では繰延税金資産として計上されます。

税金は利益に対して発生。法人の赤字は10年間繰り越せます。収益があった場合、赤字分にて損益通算し、税金負担を減らすことが可能に。

繰延税金資産の計上条件

繰延税金資産が計上される条件は主に二つあります。

  • 企業が将来税金を節約できる一時的な差異が存在する場合
  • 企業が将来利益を上げる見込みがある場合

例えば、企業Aが100万円の赤字を計上したとします。企業Aは将来、100万円の利益が出た場合、その利益から赤字分の税金を差し引くことができます。

繰延税金資産が初掲載された赤字企業は黒字化の目途が立った可能性あり

赤字を続けているグロース企業に、繰延税金資産が初めて計上されると、企業にとってのターニングポイントとなる可能性があります。

なぜなら、繰延税金資産は企業が過去に蓄積した赤字(損失)を将来の税金負担から差し引くためのものです。

これが初めて計上されたということは、その企業が赤字から黒字へと回復する見込みが立った、つまり利益を上げる可能性が高まったと解釈することができるからです。

ただし、繰延税金資産が計上されただけで全てが上手くいくわけではありません。

計上の背後には、その企業が将来にわたって一定の収益を上げることが見込まれているという前提があります。そのため、投資をする際はその企業の業績やビジネスモデル、産業環境などもしっかりと分析し、全体的な視点から判断することが重要です。

参考までに

グロース企業のプレイド(4165)の決算書に、繰延税金資産が新たに計上されています。

プレイドの決算書

これだけで黒字化期待ということはありませんが、赤字続きだった決算から黒字化へ転換するターニングポイントになる可能性があります。

繰延税金資産の注意点

繰延税金資産は一見すると、将来の利益に対する税金負担を減らすという明るい面があります。

しかし、その反面、繰延税金資産が大きいということは、過去に大きな損失を出している、すなわち企業の業績が芳しくないことを示す可能性もあります。

そのため、繰延税金資産だけを見て投資判断を下すのではなく、全体の財務状況や業績を見てバランス良く判断することが重要です。

繰延税金資産のQA

繰延税金資産はいつでも企業にとってプラスになるの?

繰延税金資産は、将来の税金負担を軽減する効果がありますが、これを利用するには企業が利益を出さなければなりません。

したがって、企業が持続的な利益を生み出せる見通しが立たない場合、繰延税金資産は企業の価値を高める要素とはなりません。

繰延税金資産が初めて計上された企業に投資すべき?

繰延税金資産が初めて計上されたとき、企業が黒字化する見込みがある可能性がありますが、必ずしもその通りになるわけではありません。

企業の将来的な収益力や業界環境、ビジネスモデルなどを踏まえて投資判断を行うことが重要です。

繰延税金資産が減少したら、その企業は問題があるの?

繰延税金資産の減少は、企業が利益を出してその利益に対する税金を繰延税金資産で相殺していることを示す可能性があります。

これは一般的に良い兆候とされますが、繰延税金資産の減少が急激である場合や、その他の財務指標に悪化の兆候が見られる場合は、慎重に分析が必要です。

繰延税金資産が計上されても赤字のままの企業はどういう状況なの?

繰延税金資産が計上されても赤字が続く企業は、現在は赤字であっても将来的には利益を出す見通し(黒字化の見通し)があると判断されていることを示します。

繰延税金資産は企業の健全性を示す指標になるの?

繰延税金資産自体は企業の健全性を直接示す指標ではありません。これは企業が将来利益を上げることで活用できる税金の節約分を表しているためです。

しかし、企業が繰延税金資産を計上することで、利益を上げる見込みが立っている可能性が示唆されることもあります。したがって、繰延税金資産は企業の将来性を分析するための一つの手がかりにはなり得ますが、健全性を評価するためには他の多くの財務指標と合わせて考慮する必要があります。

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